ハムレット (新潮文庫)シェイクスピア 福田恒存 ¥ 420 通常24時間以内に発送 ★★★★★ |
ハムレット (新潮文庫) | |
| 高校時代の一夏に演劇をやった事がある。文化祭の一環に演劇コンクールというものがあり それの練習で夏休みを費やしたわけだ。僕の行っていた高校はかような行事が大変盛んで 授業より行事で存在感のある人が尊敬されていた。 そんな夏に 演劇コンクールのために 新潮文庫でまとめてシェイクスピアを読んだ。何か役に立つと 15歳の僕が考えたのだろう。 今考えると 15歳にシェイクスピアはちょっと荷が重かったと思う。口ではシェイクスピアが描き出した「人間の苦悩」というような話をしていたが 所詮たいした苦悩などしてきていない高校生の生意気だけであった。それはそれで青春時代のエピソードとして 今でも僕のどこかに残っている。 シェイクスピアというと まずは本作ということになると思う。ハムレットは読んだことがなくてもハムレットという名前は皆が知っている。「ハムレットの心境」とは今でも良く使われるではないか。 「To be , or Not to be. That is the question」という言葉は 映画「荒野の決闘」でドクホリディが朗読した場面での有名だ。 そうして それがシェイクス... | ||
ファウスト〈第1部〉 (集英社文庫ヘリテージシリーズ)ヨハーン・ヴォルフガングゲーテ ¥ 720 通常24時間以内に発送 ★★★★★ |
ファウスト〈第1部〉 (集... | |
| 鴎外の名訳があるというので、高校生時代にファウストに初挑戦したが、なにが面白いのかわからなかった。先生に話すと、受験とは関係ないなと言われた。大学生時代だったかに相良訳のファウストが岩波文庫で出たというので読んだ。内容を掘り下げるのに苦労した。自分でも読み方が不十分と思ったし、ゲーテに対する一般的評価とは違いすぎるなと思った。その後、中央公論から手塚訳(手塚富雄訳のことで、池内訳2巻の末尾に出ている手塚治虫の漫画とは別物)が出た。これは面白かった。たしかにファウストは(そういわれるからかもしれないが)、特に第2部が奥が深いなと思った。そして、別の契機から「新訳」というのに興味がわいて、池内訳を読んだ。今までのものとの違いに驚いた。わかりやすさは格段上だ。ただし、この訳を最初に読んだとすると、ゲーテの深みが出ない感じもする。一語一語を理解するのに考えながら読んだ過去のファウストに比較すると、池内訳は「斜め読み」さえ可能である。これは、過去とは違って、時間にゆとりも出来て、ゲーテの「イタリア紀行」を携えながらナポリからパレルモへ船で渡ったり、ヴェネチアを楽しんだり、ギリシャ神話の母国やト... | ||
ファウスト〈第一部〉 (岩波文庫)ゲーテ ¥ 693 通常24時間以内に発送 ★★★★★ |
ファウスト〈第一部〉 (岩... | |
| ・元々ドイツに伝わるファウスト伝説をもとに書かれた作品。ファウストという名の錬金術師と占星家が実在したらしい。同一人物との説あり。この件は、本書の約40ページに及ぶ詳しい解説にも書かれている。 ・ゲーテが若い頃から書き始めたライフワークで、最終的には人生経験豊富な老人ならではの視点も入った、練りに練られた傑作である。構成美の一方、人間の醜悪な部分の描写もある。さらに生命力溢れる民衆の楽しみに通じた点がにじみ出ており、作品の深さと広さを感じる。「隠し砦の三悪人」など、黒澤明のいくつかの映画を思い起こさせる。 (付記1)ロックバンドThe Policeの名曲“Wrapped Around Your Finger”の歌詞に、メフィストフェレスの名が出てくる。 (付記2)1938年に毒殺されたブルーズマンのRobert Johnsonには、ギターの上達のために悪魔に魂を売ったとの伝説がある。米国の黒人と共通するとは(キリスト教の影響があるにしても)、何か悪魔には人類共通の思い入れがあるのだろうか?ファウスト 第1部 (1) 岩波文庫 緑 6-1ゲーテ (著), 森 林太郎 (翻訳) ... | ||
ファウスト〈第2部〉 (集英社文庫ヘリテージシリーズ)ヨハーン・ヴォルフガングゲーテ ¥ 980 通常24時間以内に発送 ★★★★★ |
ファウスト〈第2部〉 (集... | |
| ファウストとメフィストの賭けは続く。といっても、舞台も時代も転々と移り、果ては神話の世界にまで至るから、筋を追うだけでは辛い上に勿体無い。 かつてゲーテが宮廷の要職を放り出してイタリア旅行に出てしまったように、筋は投げ出して、しばし古代のエーゲ海で、豪華キャストによるきらびやかな舞台を楽しまれたい。 中盤を楽しむほど、終盤の「灰色の女」と契約の「時」は際立つ。 さて、虚構を常識で裁くのは野暮だが、第一部で直接1人、間接的に2人を殺し、第二部でも・・・。となれば、最終的な志の如何にかかわらず、地獄行きだろう。賭けは当然、メフィストの勝ち、か? 池内訳の結末は、死を間近にした一老人ゲーテの願望の投影かもしれない、と読者に思わせる。ファウストは人格者というより普通の人だ。訳語、訳文と最小限に絞られた注、という目立たない方法で、新たに大胆な解釈を加えたように私には見えた。 迷路だらけの宝島が、多くの研究者を惹きけ、研究書で図書館が建つ。そういう豊かな作品である。 | ||
ファウスト〈第二部〉 (岩波文庫)ゲーテ ¥ 798 通常24時間以内に発送 ★★★★★ |
ファウスト〈第二部〉 (岩... | |
| (;'Д`)ハァハァ さあてファウスト第2部だが・・・ファウストに言いたいことがある・・・。週刊少年漫画板でも聞いたが・・・おまいの漫画は・・・漫画としての文法が成り立っていないそうだ。本当にそうなのか・・・おまいの漫画を一度 読んでみたいと思った。話はそれだけだ。私は、あまり一度読んだ本を二度三度と読み返さない方なのだが、「ファウスト」は、多分、中学生で一度、高校で二度、大学で一度、社会人で最低一度は読んだ。読むたびに、自分に迫ってくる個所が変るように思う。また、読書という体験から伝えられるメッセージも変る。なにか教養というものに対して幼いあこがれがあったから、最初の頃は単に名作として無理矢理読んだ。あるいは、手塚治虫の「百物語」などとの関連で読んだのかもしれない。青春のころは、グレートヒェンとの恋物語として読んだように記憶している。自分の恋と、ゲーテの恋を重ねていた。ゲーテが恋多き人生だったと、解説にあったことで安心した。今回は、最低でも十数年ぶりに第二部から読んでいるのだが、実に面白い。随所に人生の知恵が隠されている。まだ、それらをきちんと自分の文字として、まとめるには自分の筆... | ||
リア王 (光文社古典新訳文庫)シェイクスピア ¥ 560 通常24時間以内に発送 ★★★★★ |
リア王 (光文社古典新訳文... | |
| 3人の娘を持つリア王が強烈なエゴを抱いて無慈悲な行いを末娘に 行うところから、様々な人物のエゴが錯綜し悲劇へと繋がります。 16世紀の作品ですが、その頃から人はエゴに支配された生き物で 数世紀を経て何も進歩していないことに改めて気づかされ、また 本書が持つ時代を超えた普遍性に驚き、 更に競争が第一義となったこの世の中で、本書が示す単純で明快 な教訓=人が人の為に生きる(人を思いやる心を持つ)ことの大 切さ、にハッとさせられました。 今の時代では、このような純粋なテーマや設定で物語が描かれる ことは不可能だと思うので、優れた含蓄のある古典として一読の 価値があると思います。 シェークスピアの悲劇の一つ、「リア王」。表向きの愛情表現に惑わされて姉娘二人に財産を譲ったものの、たらいまわしにされる姿は現代の家族像にも投影され、そういった演出もされる劇である。安西訳は言葉使いも現代風であり、すらすらと読み進める。舞台上の動きまでが想像できる活き活きとした文章である。「傍白」という言葉にまで注釈がついている親切さは、そこまでしなくてもとも思ったが、シェークスピアを難... | ||
サロメ (岩波文庫)ワイルド ¥ 378 通常24時間以内に発送 ★★★★★ |
サロメ (岩波文庫) | |
| 他にもサロメの日本語訳本はありますが 文体と格調の美しさと簡潔さはこの福田さんの訳本が一番でした。 此処に出てくるサロメの姿は月の光のようにはかなく消え入りそうでいて 最後抑えていた感情を全て曝け出して愛する男の首に接吻する狂える女。 神秘的で幽玄・・・そして可愛いらしくも強い少女です。 ビアズリーの挿絵(これも素晴らしいのですが)すらこの名訳の前にかすんでしまうほど。 この福田さんの訳本が無ければ自分はここまでサロメという作品に魅せられなかったでしょう。 文句なしにお勧めです。短くて、毒気に満ちている。ウィスキーボンボンのような作品ですな。本の薄さに手軽に味わえると思うと悪酔いする。子供のときに、所詮お菓子なんだからと、ボンボンをつまんで食べたら頭がクラクラしたのを思い出す。 同じような台詞が反復するのは音楽的な効果を上げている。ディオニュソス=酒の神=悲劇の神=音楽の神というニーチェの認識をうまく具現した作品。淫蕩に輝く月や薔薇の花弁が視覚に強烈に浮かんでくるので、造形芸術=アポロン的な要素も、その音楽性にうまく連動しているといえる。本当に、『悲劇の誕生』に書かれていることを実... | ||
マクベス (新潮文庫)シェイクスピア 福田恒存 ¥ 380 通常24時間以内に発送 ★★★★★ |
マクベス (新潮文庫) | |
| マクベス。魔女の予言。誰もかれもがマクベスにその手を汚せとささやく。 「きれいはきたない。きたないはきれい」という魔女のなぞの言葉・・・・。 それは完全無欠な人生を歩むには、邪魔者を殺しその手を汚すしかなく、 その手を汚したくなければ完全無欠な人生など歩めはしない(王にはなれない)という強迫なのだ。 それがマクベスの鍵となる文句。その強迫に操られてマクベスは死ぬ。 シェイクスピアの作品は、実際の演劇を見てから読むに限る。舞台での台詞のテンポと臨場感を一度経験しておくと、文学として読む作品に生命が宿る感覚を覚える。 どの作品もそうだが、マクベスも、シェイクスピアの人間の本質と弱さをシニカルに描いた作品と言うべきだろう。無闇に人生訓のようなものを導き出すのは良くないが、やはりどうしても、シニカルな視線の中に、学び取らねばならないものを感じてしまう。この作品では、魔女の囁きにそそのかれ、独善的となり、高揚した主人公が、冷静さを失ったゆえに、結局は身の破滅を導く、というストーリー。治世というレベルでなくとも、あらゆる人生の場面で、こんなことはあるものだ。 それにしても、やはりシェイク... | ||
夜叉ヶ池・天守物語 (岩波文庫)泉鏡花 ¥ 420 通常24時間以内に発送 ★★★★★ |
夜叉ヶ池・天守物語 (岩波... | |
| 女は強しw 妖怪は強しw 約定を違え理不尽で自己中な人間共を圧倒的な力でお仕置きする。 この爽快感。 命の為に恋は捨てない!!この潔さ!! こんな恋をしてみたいものである。 さて夜叉が池のお雪さん、両親は龍神と言いながら晃の話では 日照りの生贄の乙女であったりする、この謎の存在。 記憶が自己修整されているのか? 天守物語のお富さんは遠く離れた夜叉が池のお雪さんと友達みたいだしw 不思議とリンクしている幻想戯曲。 謎が謎を呼びます。『天守物語』『夜叉ヶ池』ともに坂東玉三郎が演じています。戯曲なのですから、 演じられねば話になりません。そして、舞台で観たのは『夜叉ヶ池』でした。 同時に『海神別荘』も演じられたのを二回観ましたが、泉鏡花の台詞の美しさを 稀代の女形が演ずることの素晴らしさよ。映画も先の二作はありますね。 でも、DVDになっていないのですよ。これは甚だ残念であるし、国の宝なのですから ぜひ自宅でも観たいと思います。 ともあれ、『高野聖』『眉かくしの霊』という小説で味わう鏡花とは別の趣が楽しめて 鏡花のスケールの大きさ(という言葉はこの方には似合わないけれども) を味わってく... | ||
ロミオとジュリエット (新潮文庫)シェイクスピア 中野好夫 ¥ 460 通常24時間以内に発送 ★★★★★ |
ロミオとジュリエット (新... | |
| これは喜劇の要素が強いと思う。 シェイクスピアには4大悲劇がある。ハムレット、リア王、オセロ、マクベスだ。この4つも各々味わいは違うが 一応 人間の愚かさを見据えている点が共通している。シェイクスピアの悲劇とは 「登場人物が可哀想」という事ではなく「人間が不毛である」という突き放した視線にある。彼の悲劇くらい 泣けないものはなく 暗澹とするだけである。 それに比べると シェイクスピアの中でも人気の高い本作は 喜劇である。簡単に言い切ってしまうと 誤解したカップルが頓死するどたばた劇ではないか。この話であれば 人間の不毛性というよりは「登場人物が 間抜けだけど まあ 可哀想」ということかと思う。人によっては泣けるでしょう。 すくなくとも 書いているシェイクスピアが 冷笑しているような気がしてならない。少年時代、この作品を読んだところ、全く面白くなく、なぜこんなにまで人々にもてはやされるのか理解きなかった。ロミオとジュリエットの悲恋話は典型的な、陳腐なものであると感じられたからだ(実はその典型を確立したのが当のこの作品なのだが)。 しかし、今あれからもう少し年をとり、この作... | ||
欲望という名の電車 (新潮文庫)T.ウィリアムズ 小田島雄志 ¥ 540 通常24時間以内に発送 ★★★★★ |
欲望という名の電車 (新潮... | |
| Penguin版の原書を元に翻訳されています。 表現方法がやや古臭い感じがします。 時折はしょっある部分も見当たります。どういう意図で 省略したのかはわかりませんが、物語の筋には異変がないので まあいいでしょう。 この戯曲をうまく表現するのは非常に難しいとは思う。 心の闇の部分にも焦点をあわせなければいけないし。 妹を頼って現れたブランチはおとなしい雰囲気で登場するのだが、 妹のステラにあったとたん急にしゃべり始めるなど、結末への 伏線は見事に描かれている。 本作品をそのまま評価するのは難しいがT.ウィリアムズの作品を 知るにはちょうどいいと思います。読む前の予想と、ちょっと、違いました。 前半は、良かったけど、後半は、だんだんと、ねっ。 今でも、思い出すと、胸が、痛くなる。 うぅ〜ん、確かに、記憶に残る、残ってしまう作品です。 登場人物は、多くありません。舞台設定も、ぼろアパートの一室が、中心。 超大国・豊かなアメリカ―――国際社会では、そう捉えがちですが、 その内実、アメリカ国内では、貧や弱さが、存在します。 その中で、たくましく生きるもの者もあれば、そうでない者も・・・ こ... | ||
ガラスの動物園 (新潮文庫)テネシーウィリアムズ ¥ 460 通常24時間以内に発送 ★★★★★ |
ガラスの動物園 (新潮文庫) | |
| テネシー・ウイリアムズを一躍有名にした本作は色々な劇団によって演じられているそうですが劇という演出家の観念で作った物を見る前に是非とも原作を読んでイマジネーションを広げて欲しいと思いました。 語り手であるトム、過去の栄光が忘れられない母アマンダ、ガラスのように繊細な心の持ち主である姉ローラ。 作者が一番訴えたかったのはローラの人生なんだと思います。 繊細すぎ、傷つきやすいがために人生とうまく折り合いをつけられない姉。 姉の日常においてできることは彼女のコレクションのガラスの動物たちを世話することと、古い1枚のレコードを聞くこと。 ガラスの動物たちは彼女の心の反映であり、小さくて壊れやすいのです。 それは作者の実在する姉であるローズがモデルであることは明かです。 両親にロボトミー手術を受けさせられ、廃人になってしまった姉。 それを止められなかった作者は終生悔恨の情に溺れ、名声とは裏腹に私生活は荒れていたと言います。 そんな作者の魂の吐露が切実なまでに我々に訴えてきます。誰の胸にも、家族という重いしこりが居座っている。その急所をテネシー・ウィリアムズが直撃する。読み出したら止まらない。 ... | ||
シェイクスピアを楽しむために (新潮文庫)阿刀田高 ¥ 620 通常24時間以内に発送 ★★★★★ |
シェイクスピアを楽しむため... | |
| 「シェークスピア」という名前は知っている。 代表作のタイトルもいくつか知っている。 でも、その内容はほとんど知らない、という方には最適な「シェークスピア入門書」です。 筆者の書くとおり、訳書ではその面白さがうまく伝わらないし、 英語で読むには語学の壁がある。 そんな煩わしさを取り除いて、面白い部分だけを得意の阿刀田節で楽しく説明してくれます。 近年、シェークスピアの作品をモデルにした演劇や映画も非常に多くありますが、 多くの方は、それらの元ネタがシェークスピアだとは知らずにご覧になっているでしょう。 この本を一度読んでおけば、映画や演劇の見方がこれから変わってくると思います。 有名だけれど、細かいストーリーまでわからないシェイクスピアの作品、生涯を阿刀田先生らしくユーモアを交えてわかりやす書いています。 この本を一冊読めば、シェイクスピアについて、だいたいの知識は得られると思います。 阿刀田先生は、有名な古典を全部読むと大変だから、わかりやすいダイジェストを作ろうとしています。 読者が退屈しないように、ユーモアを入れているので、このユーモアは読者サービスだと思います... | ||
じゃじゃ馬ならし・空騒ぎ (新潮文庫)シェイクスピア 福田恒存 ¥ 580 通常24時間以内に発送 ★★★★★ |
じゃじゃ馬ならし・空騒ぎ ... | |
| シェイクスピアの時代にもツンデレはいるんだ、ということがわかる小説。 じゃじ馬ならしのケイトは違う気がするが、空騒ぎのベアトリスは紛れも無くツンデレ。 どころか、べネディックのほうも鈍感さを発揮しており、とても400年前の演劇とは思えない。「じゃじゃ馬ならし」は、「じゃじゃ馬」だと思われていたケイトが、一人のタフ・ガイと出会って魅力的な女性に変身する話。一方の「空騒ぎ」は、男嫌い、女嫌いのベネディックとベアトリスが、友人たちの好意ある罠にはめられ、それぞれ優しい女性、頼もしい男性であることに気づき結婚に至る、という喜劇。共に「思い込み」がテーマになっている。でも、「思い込み」とはなんだろう? ケイトはみんなに「じゃじゃ馬」だと思われていた。自分でもそう思っていたに違いない。だが本当は、ほかの誰よりも女らしい女性だった。−−本当だろうか? 劇の冒頭、私たちは彼女を「じゃじゃ馬」だと思い込んでいた訳だが、それなら終幕の理想的な女性となった彼女にだて、そう思い込んでいるだけかもしれない、と疑うことも許されるのではないか? この二つの喜劇に共通している本当のテーマ、それは「私とは誰か」という... | ||
近代能楽集 (新潮文庫)三島由紀夫 ¥ 460 通常24時間以内に発送 ★★★★★ |
近代能楽集 (新潮文庫) | |
| 僕は日本文学界の中で三島由紀夫さんを一番尊敬しており、一番才能がある方だと思っています。 この近代能楽集はまさにその三島由紀夫の互いまれな才能がいかんなく発揮された作品だと思います。 僕が特に目を引いた作品が「葵上」です。 僕はこの作品を初めて読んだとき、この「葵上」の世界の中に引きずり込まれたことを覚えています。葵上の作品の流れとして、現実から非現実の世界になり、そしてまた現実に戻るという時の流れが入っています。途中、時の流れが「戻る」というのは小説の世界ならまだしも、戯曲すなわち舞台化するにあたって非常に表現するのが難しいと思います。これを「戯曲」として書いた三島由紀夫は天才であり、奇才だと思います。この葵上の物語の途中に、六条康子は黒の手袋をはずすのだがこのことが最後の最後になって、重要な意味を成す。相変わらず三島の作品というのは、伏線を張るのがうまい。というか憎たらしい。こんなこと、ストーリーに関係があるのだろうかと思う箇所が大事な意味を持っているという小説及び戯曲が三島由紀夫の作品には多いような気がします。 この「葵上」という作品からは、三島由紀夫の美的センス、そしてなによ... | ||
青い鳥 (新潮文庫 (メ-3-1))メーテルリンク 堀口大学 MauriceMaeterlinck ¥ 420 通常24時間以内に発送 ★★★★★ |
青い鳥 (新潮文庫 (メ-... | |
| 青い鳥といえば、こどものころ、いわさきちひろさんのあわい絵が美しい、この本の古版を宝物にしていましたが、これは物語として再編集されていたんですね。原作は、とにかくメーテルリンクのこだわりっぷりがすごい。登場人物の衣装や舞台に至るまで事細かに設計してあるんですよ。おかげでイメージがわきやすくて助かりますが、この劇を作る人々はさぞ大変だったことでしょう…。古い本なので、時代を感じさせる言葉遣いや時には不適切な表現も見られますが、それらを含めてももう一度読んでよかったと思いました。絵本の記憶はかなりおぼろげなので、チルチルとミチル、犬のチロ、砂糖の指をおやつにくれる砂糖の精くらいしか覚えていなかったのですが、実は仲間がたくさんいたんですね。しかも彼らにとっては青い鳥探しは戻れない旅という衝撃…。それでもチルチルとミチルと旅に出たいと乞うチロはいじらしくて胸を打たれました。いろいろな国をたどりながら一行は青い鳥を探しに行くのですが、わたしの待望の「未来の国」はやっぱりとてもよかったです。未来の国の彼らは自分の運命を知っています。生まれたら忘れてしまうんでしょうけれど、英雄的な役割をすること... | ||
テンペスト―シェイクスピア全集〈8〉 (ちくま文庫)ウィリアムシェイクスピア WilliamShakespeare 松岡和子 ¥ 714 通常24時間以内に発送 ★★★★★ |
テンペスト―シェイクスピア... | |
| 身分のい人間が魔女について魔法を身につけるという話はあまりないと思う。普通は王にはなれない立場の人間が力を手に入れるために魔法を身につけて、世界を制覇しようとするような外に向かっていく物語が多い。この作品でも、流された身の王が復権と復讐のために魔法を身につけるのだが、復讐の仕方がなんかせこい。孤島に誘い込んでゆっくりといたぶるというのは大人げないとも言える。しかもシェイクスピア作品の例に漏れず言動は罵詈雑言、極めて俗物なのである。それを取り巻く魔法遣いの弟子や仇敵達も良い勝負の下品さが全開で、復讐譚の人情話の思い入れがなかなか湧いてこない。 芝居を見物していたのは庶民達だったのか、支配者階級もいたのか分からないが、どちらの立場で見ても爆笑であったことは想像に難くない。しかも物見高い見物人をも「乞食には施さないが、死んだインディアンの見物には金を払う奴ら」と揶揄してしまうところは人気劇作家であったシェイクスピアの真骨頂と言えるのではないだろうか。 訳者の松岡さんも書いている通り、この作品の主人公プロスペローはシェイクスピア自身であると考えられます。 プロスペローはこの話の中で様々... | ||
蓮如―われ深き淵より (中公文庫)五木寛之 ¥ 500 通常24時間以内に発送 ★★★★★ |
蓮如―われ深き淵より (中... | |
| 父は本願寺第7世・存知、蓮如はその庶子。本戯曲は蓮如39歳から始まり、本願寺8代目法主になり、波瀾富んだ中年を経て56歳の春までが描かれている。生涯に4人の妻と死別し、5人の妻を娶る。子は男13人、女14人生まれても早世する子が多かった。シンプルに簡略化を余儀なくされる舞台劇の脚本。二度目の妻蓮祐が蓮如の抱かれて息を引き取るところが本作品のクライマックスとなっている。阿弥陀さまの声が聞こえるお浄土へ往く。ト書き…蓮如、突っぷし嗚咽する。 その時、あの御文(いわゆる「白骨の御文章」)がしたためられる。「…人間のはかなきことは、老少不定のさかひなれば、…」(暗転)混迷の今、「蓮如」に学べ、ということで前進座で舞台化され、各地で上演された。行き詰まった近代合理主義に対する「解毒剤」にもなるだろうか。虚妄の繁栄にすぎない表層の裏に深淵が隠されていることを悟りたい。 名前の他はよく知らなかった蓮如について、イメージをつかむことができました。これが何より。というのも、昔の仏教関係の人物は、往々にして名前(親族・友人を含め)も思想も漢字だらけで難解で、彼らに興味をもっても、その興味が内容のあ... | ||
ノッティングヒルの恋人―シナリオ対訳リチャードカーティス ¥ 1,470 通常3〜5週間以内に発送 ★★★★ |
ノッティングヒルの恋人―シ... | |
| ある程度ネタばれですが、とてもジュリアの素顔的な部分も含めジュリアファンでは ない自分はこれを観て彼女への意識が変わりました。 それとヒューの英語はとても綺麗な発音で聞いてて心地良いです。 映画の内容、主人公二人を取り巻く普通の人々がこれまた、とても良い味で 特に自分は「スパイク」役にははまって何度観ても穏やかになれる人生の1本です。 値段が更に下がっていたのはショックでしたがね。英語の勉強にと購入しました。撮影前の台本を印刷、訳したのだと思いますが、実際の英語の台詞と違うところがたくさんあるし、日本語自体が不自然なところが多くて(全く意味のわからない訳文も多い)、がっかりしました。英語字幕の入った DVD を購入した方がよっぽどよかったです。ジュリア・ロバーツのファンで特にこの映画は好きなので、シナリオ本はないかと思って本書を買いました。本当にシナリオ本の訳本なので撮影現場でシーンの差し替えや台詞のちょっとした変更には対応していません。買う人の目的を考えたら何とかして欲しいなと思うのですが、これしかないので仕方ありません。本とも違っていてどうしても聴き取れないところはちょっと... | ||
サド侯爵夫人・わが友ヒットラー (新潮文庫)三島由紀夫 ¥ 420 通常24時間以内に発送 ★★★★★ |
サド侯爵夫人・わが友ヒット... | |
| 05年秋に新妻聖子主演による「サド侯爵夫人」を観賞。〈昭和の名戯曲〉はフレッシュな感性を吹き込まれて新たな光芒を放ち、感動のクレッシェンドを胸に刻んだ。 これは三島文学、美学のエッセンスを凝集したような傑作である。戦後最高の戯曲のひとつとされ、国際的評価も極めて高い。作品の舞台になっているフランスでは、三島ファンだったというシュール系作家A・マンディアルグが華麗な仏語に翻訳、劇は世界各国で上演されている。 渋澤龍彦著「サド侯爵の生涯」を典拠とした3幕物で、時代は18世紀・大革命前後。登場人物は主人公のサド侯爵夫人・ルネ、その母モントルイユ夫人をはじめ、知り合いの伯爵・男爵夫人ら女性ばかり6人。それぞれが貞淑、法・社会・道徳、肉欲、無節操などを代表する人物として位置づけられ、舞台に登場しない怪人物サドをめぐり、愛憎が絡んだ苛烈なせめぎ合いを繰り広げてゆく。 「セリフだけが舞台を支配し、イデエの衝突だけが劇を形作る……」と三島が説明するように、比喩、アイロニー、諧謔、エスプリなどをちりばめた壮麗な言葉、秘めやかな韻律が作品を貫流。その「デクラマシオン(朗唱術)」と呼ばれる... | ||